2005年08月05日

缶切り事件 

 連日、30度を越す暑い日が続いている。 

 今朝、 冷たくてさっぱりした物が食べたくて冷蔵庫を覗いたら
果物の缶詰があるのに気づき、朝食後デザートにと
缶切りで開けてると20数年前の出来事が思い浮かんだ。

 丁度夏休みで中学2年生の末の弟は、
漁の手伝いで父親の船に乗り込んだ。

炎天下の船上は暑くて喉が渇いて仕方がない。
お昼時でもあり船内に備え付けの大きな冷凍箱から
あまがしの缶詰を取り出し開けた瞬間、
手が滑って缶切りは海中に沈んでしまった。

その時の父の怒りが半端じゃなかったらしい。

沖から帰った弟は部屋に閉じこもって出てこない・・
不穏な空気をさとった私は元気のない弟に問いかけた。

しばらくすると
涙ぐみながら二度と父とは漁に行かないと話す。
弟の言い分は正しい。 せっかくの夏休みを親の手伝いをして
誤って缶切りを海に落としただけで怒鳴られるのは割があわない。

直ぐに、
お茶を飲みサンシンを弾いてる父の元へ行き文句を言うと、

「海の上では船の板一枚で 生か死 なわけさー。
たかが缶切りというけどそれが命綱になることもあるわけさ。
その厳しさをわからないとね!!」

娘とは言え、 
日々命を掛けて働いてる海ンチューに恐れ多くも意見をいうとは・・ 
本当に恥ずかしかった。
穴があったら入りたかった・・・

何事もなかったかのように父はまたサンシンを弾き始めた。


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