ふらーさー

　中学一年の一人息子が突然、
「お母さんの将来の夢は何？」と訊いた。

いきなりの質問に『うぅーん、将来の夢か～』と考え込んでいると

「僕はプロのサッカー選手になるんだ！」
と、力強い口調で自分の夢を語ってくれた。

「それでお母さんの夢は何？」

「大会社の社長かな！」と応えると

「そうか～。　今はありんこの会社だからね～」
と妙に納得した顔で腕を組んだ。

「ひとつだけ言っておくけどね。
夢は持ち続けなければ駄目だよ。諦めたらそこで終わりだからね！」
物知り顔の息子である。

　色んな夢を持ってたのに太刀打ちできない現実の前で
木っ端微塵にされたり、分不相応な夢に気づき諦めたりと
夢を持ち続ける事もある種のパワーが必要だと感じる。

振り返ると
幼い頃の私の夢は外国に旅行することだった。
１０カ国以上は海外旅行をしたのでその夢は叶ったことになる。

小学校６年のときの夢は中学の生徒会長になることだった。
なぜそう思い立ったのか未だに理解できないがその夢も叶ったことになる。

大人になってからの夢は自分で会社を興すことだった。
小さな会社ながらもその夢も叶ったことになる。

何気なく問うたであろう息子の質問は自分自身にも
問いただす質問であった。

そうか！将来の夢か？

大きな夢もあり小さな夢もある。
やはり夢があるところから全ては始まる気がする。

「女優になるって夢もあるんだけど、どうかしら？」と息子を覗き込むと

「ああ～っ。　無理無理！」と去って行った。